仙台戦。絶対TV中継されていない試合開始前のお話
俺、別にオーロラビジョンとかどうでも良いと思っている。
派手な画像効果で選手を紹介したところで、選手の動きが派手になる訳ではない。試合中のリプレイなんざ、ゲームが進んでいるのに長々とピッチから眼を離す奴が出て、とても不愉快だ。中にはここぞとばかりに解説を始める奴や、ネットでせっせと仕入れたネタを延々と話し始める奴とかまでいて、本当に腹が立つ。
俺はお前等の解説を聞くために、ましてやネットのテンプレートに乗っただけの捻りのないつまんねー話を聞くために、スタジアムに来ている訳じゃない。
試合中の会話なんざ、極力短くしてくれ。必要な言葉だけ、ワンタッチ、ツータッチで紡げばいい。会話したいなら別のところに行ってくれ、ましてや自分のプレゼンスを高めるために会話を使おうとしているなら、二度とスタジアムに来ないでくれっ!
...と、本題の前に無駄に敵を増やす悪い癖が出てしまいましたw
要は、ずっと俺はオーロラビジョンなんてどうでも良い、むしろ邪魔じゃね?って思っていた訳ですよ。
以下、そんな男が、初めてオーロラビジョンの映像効果を認めたっていうお話です。
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昨日の仙台戦。
試合開始前、いつものようにボールボーイが紹介された後、スタジアムのスピーカーから音が消えた。
「さぁ、行こう!手拍子で選手を迎えよう!」
仲間が、みんなに声をかけた。
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三ッ沢に来たことがある人ならわかると思うけど、横浜のホームゲームは、はっきりと始まる。
観客の手拍子が、選手を迎える。
パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン...
選手が出てくるまでの数分間、一人一人の身体から奏でられる音が、スタジアムを全体を包み込む。
これ以上ないぐらいシンプルな応援。誰でも参加できる応援。そして、俺が一番好きな応援。
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パン、パン、パン、パン...
手拍子は力強く始まった。
しかし、始まってすぐ、俺の周りが少しざわつく。
「早くねーか?」「持つのか?」
時計に眼をやる。確かに5分以上拍手を続けることになる。叩いてみればわかると思うけど、5分間手を叩き続けるということは、慣れない人にとってとても大変なことだ。
もちろん、俺らは、いい。苦しかろうが辛かろうが、手を叩き続ける。選手達を、そして自分達を鼓舞するために、頭の上で手を叩く。
でもこの応援は、メインの人もバックの人も参加してくれている。
「大丈夫か?」
俺も少し不安になる。
俺の心を見透かしたように、仲間の声が飛ぶ。
「大丈夫だ!」「やろう!」「頑張ろう!」
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パン、パン、パン、パン...
最初は元気良く頭の上で手を叩いていたボールボーイ達の腕が下がり始める。そりゃそうだろう。慣れてなきゃ相当辛いだろう。
でもスタジアム全体の音はそんなに崩れてない。
「なんだこれは??」
周りがまたざわついている。短い声が聞こえる。
「うしろ」
えっと思い振り向いて、見上げたオーロラビジョンには、手拍子を続けるサポーターの姿が映し出されていた。手拍子にあわせるかのように、ゆっくりと移動しながら、サポーターの姿を追っていた。
決して派手な映像じゃない。音楽もない。
ただ手を叩くサポーターを映し出していただけだ。
でもそれは、拍手を続ける人に確実に勇気を与えた。
「あの人が頑張っている」「あんな人も頑張っている」「よし、俺も頑張ろう」
そう思い、自分を奮い立たせて頑張る人の気持ちは、きっと隣の人にも伝わったろう。隣の人は、伝わった頑張りを、自らの手拍子にのせ、それはさらに隣の人に伝播する...
まるで御伽噺のような、とても原初的な繋がり。
大切な、しかし絶対に忘れてはならない、言葉ではないコミュニケーション。
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手拍子は続く。
パン、パン、パン、パン...
いつまでもヘタらない手拍子の音を聞きながら、もっともっと頑張ろうと思った。大事な試合だ。みんな頑張っている。俺も頑張る。もっともっともっともっともっと頑張る。
隣の仲間の手拍子が聞こえる。その音は、下がりかけた俺の腕を押し上げる。ありがとう。
ロッカールームから出てきた選手が見えた。
フェアプレー旗が、静かに入ってきた。
手拍子が拍手に変わる。マフラーが掲げられ、俺達は歌う。
「アレー、ブルビアンコ、アレー、ブルビアンコ...」
いつもの三ツ沢の歌ではない。しかし勿論、この歌にも俺達の気持ちを乗せられる。
「アレー、ブルビアンコ、アレー、ブルビアンコ...」
さぁ、試合が始まる。
行こう。やろう。勝とう。
審判の笛が鳴り、きっぱりと試合が始まった...
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これ以降については、スカパーの録画とか、J'Goalとかでお楽しみください。
いろんな人が語っているように、とても素晴らしい試合だったと思います。
そしてその素晴らしい試合を作り出す上で、オーロラビジョンはとても重要な役割を担ったと思っています。
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おまけ。
仙台戦、横浜の選手たちの試合の入りは素晴らしかった。最初から集中していた。
俺、思うのよ。
あれは試合開始前の雰囲気が凄く良かったからだって。だから乗っていけたんだって。
昨日の試合、最後まで手拍子を頑張った人は「俺が勝たせたんだっ」って言って良いと思う。
幻想?
勿論そうかも知れない。
でもだからこそ、昨日みたいな試合は宝物なんだ。そんな試合、めったにないんだからさw、胸を張っていこうよ。
そして、残り9試合。
その宝物を胸に「絶対勝たせてやるっ」って意気込みで、さらに頑張りましょう。
コメント
イーネッ!(^3^)/
投稿者: ヤモ | 2006年09月29日 10:00
草津戦が無駄ではなかったことを選手もサポも示すことができた。
優勝への道のりはさらに険しいこともあるでしょう。
しかし、もう進むしかない。
その道筋ははっきり見えるんだから。
やっちゃいましょう!
でも三ツ沢にオーロラビジョンは不要だと思うが、いかが。
投稿者: メイン | 2006年09月29日 12:27
また涙が出てきた
投稿者: naminos | 2006年09月29日 12:58
つか何でホームのサポがわざわざ振り向かないと
見えない造りになってるんでしょうね。<オーロラビジョン
日本のサッカースタジアムの構造的な欠陥だと思います。
アウェイ側にあると助かるんですけどね。
あと仙台戦の演出はGJですね。
東京○ームの野球のようなアニメの手拍子
(白手袋はめた手が音楽に合わせて手を叩く)は勘弁していただきたいです。
投稿者: takei | 2006年09月29日 18:23
連投スマソです。
ま、私もゴル裏の雰囲気を知ってるだけに
オーロラビジョンはいらないかなと思ってきたりして。
でも繰り返しになりますが
やっぱホームのサポのためにもアウェイ側に
得点と時計だけのシンプルな掲示板は
設置して欲しいなと思います。
投稿者: takei | 2006年09月29日 18:29