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日本代表の敗北の時の気持ちを振り返る

しばらく、W杯について感じたことを書いていきたいと思います。

「サッカーの文脈」「他者(あるいは”違う”と”同じ”)」

スポナビ、サポティスタの@コラムなどを中心に、今ワールドカップについて、読むべきコラムが発表されています。ロジカルに総括したい方は、そちらをご覧下さい。ここで私がやるのは、極々個人的な感情の流れをトレースするものに過ぎません。

−−−−−

《日本代表の敗北の時の気持ち》

僕は、宮城での敗北を目の当たりにして以来、ずっとモヤモヤした気持を抱えていた。
帰宅後、自分の考えを整理するために、いくつかの文章を書いてみても、それは消えなかった。

「他の人はどう考えているんだろう」

弱い人間は、迷ったときに何かすがるものを探そうとする。もちろん、僕もそうだ。
ネット上で様々な意見を読んでみた。殆どの人が整理していないように見えた。しかし、概ね以下の2つの意見に集約されるようであった。

−−−

TUTAX A GOGO(http://www01.vaio.ne.jp/tsutawo/343_0206.htm)に02/06/19付けで書かれたような「残念よりも『裏切られた』想いが強く。笑顔で全てを終わらせたかった。『素敵な夢だった』と。『いつの日かまたこんな夢で逢えたら』と。言える理由が欲しかった。」というもの。

宇都宮氏のコラム(http://www.sportsnavi.com/column/article/ZZZPZKNAM2D.html)に書かれているような「悔いが残る敗戦であったにもかかわらず、宮城の冷たい雨に打たれながら、それでも私がどこかすがすがしい気分でいられた」というもの。
(日曜朝9:00という非常に中途半端な時間にひっそりと放送されていた、CUPという番組の中で、植田朝日氏も宇都宮氏と同様の意見を言っていたのが印象深い)

−−−

僕自身が持った感情は、前者に近い。とてもじゃないが、宮城の雨に打たれながら、すがすがしい気分ではいられなかった。
スタンドから「ニッポン」コールが湧き上がったが、それに呼応することはなかった。トルコ選手たち、そして日本選手たち挨拶に来たが、彼等を前にしても、拍手ができなかった。

拍手をできない自分に呆然としていた。
拍手をするためのロジックを必死になって探していた。
しかし。
とてもじゃないが、感情的な部分で、納得して負けを受け入れることなんて、出来なかった。

監督の選手起用が不満だったのか。
もちろん、それもある。
選手達から貪欲さを感じられなかったからか。
もちろん、それもある。

恐らく、ロジックを組み立てることは出来る。
でも、何かしっくり来ない。

なぜ、僕はモヤモヤしているのか。

−−−

つい最近、サポティスタで澤井和彦氏のコラム(http://www.keddy.ne.jp/~blue/supportista/data/sawai/1025210813.html)を読んで、少しだけ、その疑問に答えが見えたような気がした。

読んでいただければ判るとおり、このコラムは、韓国と日本の関係について書かれたものだ。しかし、そこでのキーワードである「違う」と「同じ」が、あのモヤモヤをうまく説明してくれているように思えた。

−−−

安易な逆説との謗りは甘受するとして...

あのモヤモヤは『ロジックを組み立てなければ』敗戦を納得できないことに対して感じた感情ではないだろうか?

ロジックは「他者」を理解するために使われるものだ。

すなわち、日本代表の敗北を納得するためにロジックを考え出さねばならなかったということは、日本代表が、僕にとって「他者」であったということだ。

本来であれば、無条件に「同じ」筈の日本代表。しかし今回の敗北の瞬間、彼等が「他者」であったことを直感的に意識せざるを得なかった。

僕の感情は、そこに起因していると考えている。

−−−

ワールドカップドイツ大会。
ベスト16あるいはベスト8。
次大会に向けて、きっと具体的な目標が設定されるだろう。

でも...
もし優勝を目標としないならば、僕は「納得できる負け」を目標の一つにしてもらいたい。
もしかしたら、勝つことよりも難しいことかも知れないけれど。
でも、やっぱりそれは、頭の片隅に置いておいて欲しいと思っている。

だって、自国の代表を、「他者」として認識しなきゃならないなんて、ものすごく悲しいことだと思うから。

負けたときに、胸を張ってマフラーを掲げたい。

もしかしたら、とても贅沢な希望なのかも知れない。
でも、僕は、あのアイルランドのオヤジ達を忘れない。
いつかあのオヤジ達のように...

−−−

なお、僕自身は、トルシエの4年間、そして選手達の素晴らしさを誇りに思っている。念のため。

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